現代の様々な創作物の表現は、過去の創作物の積み重ねで成り立っている。

創作活動をする人の中には、「様々な創作物の積み重ねがあって今がある?! そんなこと知るか。俺には天性の才能がある。いつも無から生み出すオリジナルだ」、と叫ぶ人はいるかもしれない。しかし例えば世界各国の古代人に、現代の表現が出来るだろうか、という点を考えれば、この話は理解ができるはず。創作者は、他の創作者の作品を見て記憶して、それらの記憶を意識的、または無意識に土台にして、画面上で悪戦苦闘して、自身の作品を完成させる。

コミックジョジョの奇妙な冒険の初期の絵は、オーストリアの画家エゴン・シーレの影響がある感じがする。作者自身も1900年代のオーストリアの画家に興味があることは隠さず、単行本で実験的なラフイラストを公開していた。さらにイタリアの彫刻に興味があること、様々な資料を参考にしていることをインタビューでは語っていた。ウェブ上では、トニー・ヴィラモンテスからの影響が指摘されているが、トニー・ヴィラモンテスエゴン・シーレの影響がある感じがする。そしてエゴン・シーレは、様々な画家を参考にしていたことで知られている。

ジョジョの奇妙な冒険のキャラクターのポージングについて、トニー・ヴィラモンテスが描いた絵のポージングをマネしているという指摘があるが、あのような記号的、絵画的なポーズは、絵を見て感心していると記憶として残り、いつの間にか創作物に出てきてしまうことがあるのでは、と考えている。あるいは、自分なりにアレンジして表現してみたい、モノマネ芸のようにパロディとして使ってみたい、と考えたことも考えられる。
メモ 週間コミックは短期で1話分を仕上げなければならない為、細かな部分の描写はアシスタントに丸投げすることがある。しかし作者自身が最終チェックを行う為、全コマは作者による作品として解釈して、記した。

創作には、稀に偶然の一致もある。例えばメガゾーン23は、既に似ているSF小説が存在していたことが分かり、現実の東京を舞台にする変更がされた。1920年代にドイツの画家オスカー・シュレンマーは、ウルトラマンに似ているバレエ舞台衣装をデザインした。シンプルなデザインになっている為、偶然の一致が発生したことが考えられる。1939年にアメリカで出版された雑誌 AMAZING STORIES の表紙にも、ウルトラマンに似ているロボットのイラストが掲載された。1300年代後期~1400年代前期に製作された SMITHFIELD DECRETALS に掲載されたイラストは、スターウォーズのヨーダに雰囲気が似ている。
メモ ある創作物と別の創作物との一致点を見つけて、記事にして公表するならば、非難はせず、淡々としている美術史的な書き方が良い。

ところで創作活動をする人は、「様々な創作物の積み重ねがあって今がある?! そんなこと知るか。俺には天性の才能がある。いつも無から生み出すオリジナルだ」という気持ちは持っているほうが、自身の画風になり、道が拓けるのでは、と考えている。